オンライン授業・映像授業の留意点
長引く新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスが原因で、社会全体が変則的な対応を余儀なくされていますが、現時点において、ワクチンなどの有効な手立てが見いだせていない中、しばらくはこのままズルズルと続いていくのでしょう。
受験生をもつ親として、やはり心配です。
一部の学習塾では、春先からの学校の休校措置にあわせて、生徒を登校させての対面授業を行うことができず、ホームページに掲示された映像授業、またはオンライン授業で対応せざるを得ない状況となりました。子供たちが通う塾でも、春先から映像授業、Zoomによるオンライン授業が始まり、私のノートパソコンは、実質的に息子専用のモノとなってしまいました。
映像授業・オンライン授業の難しさを感じたきっかけ
映像授業とオンライン授業は、ウイルスの感染を防ぎつつ、カリキュラムを進捗させる手段として、とても有効です。
しかし、受験生の「学び」「知識の習得」の面において、「やや難しいと言わざるを得ない」というのが、これまで見てきた私の印象です。
その兆候を最初に感じたのは、確かゴールデンウィークのころ、テキストの丸つけ、間違えた問題の解き直しを手伝っていたときでした。映像授業→解き直し→宿題と学習を進めていくのですが、正答率も低いように感じ、「説明してごらん」と聞いても、子供はあやふやな回答。
最初は「たまたま苦手な単元だったのかもしれない」と思っていましたが、「以前に比べ全般的に理解力が落ちている」ということに気づくのに、そう時間は掛かりませんでした。
映像授業・オンライン授業のデメリット
もちろん、映像であれ、オンラインであれ、対面と変わらずに理解力を発揮するお子さんもいらっしゃると思います。それでも多くの方は、私と同じように感じているのではないかと確信しています。
そもそも、先生と生徒の双方がオンライン授業に慣れていないうえ、物理的な距離感から授業中の質問のタイミングも難しいものと思われます。内気な子であれば、授業が終わった後に質問しに行くところ、オンラインでは、授業の終了とともにネットは切断されてしまいます。
オンライン授業では、クラスのメンバーだけでなく他の教室の生徒も一緒に受講している場合があるので、ますます質問しにくい雰囲気となります。
一方、映像授業は自分の都合の良い時間に、自分のペースで授業を受けることができるメリットがあるものの、逆にそれがデメリットになってしまう側面もあります。
映像授業では、コミュニケーション上の制限を補うためか、通常の対面授業より板書の情報量も多くなりがちで、それらをノートにまとめる時間も馬鹿になりません。まじめな子供ほど、時間を掛けてでもすべての情報をノートにおさめようとしてしまうのではないでしょうか。そして、映像授業は一方通行なので質問は不可能です。
入試までにどのように帳尻を合わせていくか
この危機感は、なにも親だけの話なのではなく、塾の先生も同様に感じていることのようです。
先々月に塾の先生との面談がありましたが、「これまで映像授業、オンライン授業で教えたことが、実はほとんど子供たちに身に付いていないのではないかという恐怖心にかられるときがある」と吐露されていました。
つまり、便利であるがゆえに、「授業の内容を理解する、理解させることよりも、カリキュラムを消化することに重きが置かれていた面は否めないのではないか」。
映像授業やオンライン授業を行っていたころに比べて、現在は、一日の感染者数が圧倒的に増えてはいるものの、なんとか対面での授業(夏期講習)が行われている状況です。再び対面の授業ができなくなる可能性に神経を尖らせながらも、入試までにどう帳尻を合わせていくのか、先生も親も、そして子供たち本人も、その巧拙が試される年となります。
スケジュール管理と習熟度の確認を親としてもマメに行っていくしかありません。