中学受験の過去問は、いつから取り組み始めたらいいのか
開始時期に関する意見
中学受験の過去問は、いつから取り組みを開始していいものか。
この問題については、ネットで検索してみても、いろいろと意見の分かれるところのようです。
大方、
- 夏休みに入ったら
- 夏期講習が終わったら
といった意見が多いように見受けられますが、まだ出題範囲が終わっていない
- 5年生の3学期から
という意見もあり、それを見て焦りを感じる人も少なくないと思います。
塾の対応
塾によって勉強の進み方も異なりますので、夏休みに入るまでに出題範囲の勉強がすべて終わってしまう塾では、「夏休みに入ったら」過去問に取り組むよう指示があるようです。
一方、入試の出題範囲の勉強が夏期講習中に終わる予定の塾では、基本的に「夏期講習が終わったら」という指示となります。「早く取り組んでも自信を失うだけ」というのが理由です。
ちなみに、小学6年の息子が通う塾は後者の方ですが、先生によっては「国語であれば、夏に入ったらすぐに手を付けてしまっても構わない」とおっしゃる方もいます。
「5年生の3学期から」開始すべきという意見については、その時点で子供が答えられない問題が多くあることは承知の上、
- 「志望校の出題傾向を早期に知るため」
- 「それにより、これから1年かけて効率的な勉強を進めていくことができる」
という理由で取り組みを始めてしまいます。
確かに、同じ偏差値の学校でも出題傾向は大きく異なるので、その相性が合否に与える影響は決して少ないものではありません。
出題傾向は早めに見ておくに越したことはない
3つの意見ともに合理的ではありますが、私は「6年生の夏に入るまでに」に1回分だけでいいので、第一志望校の過去問を解いてみることをおすすめします。
「過去問などやる時間があれば、授業の予習復習に時間を充てたい」というご意見も、ごもっともかと思います。だから、「1回分」だけでいいのです。あるいは「1教科」であっても構いません。
いまは全然歯が立たなくても「年明けにはこのくらいのレベルに達していればいいのだな」とゴールまでの距離を実感することができれば十分です。どれだけの距離を走るのかわからないマラソン、どれだけの高さかわからない登山ほど、精神的に辛いものはありません。
現在地とゴールとの「差」がわかったら、あとは、その「差」を埋めるための勉強をしていけばいいということになります。そして、6年生の夏、出題範囲が一通り学び終わった頃合いで、塾の指示にも従い、それ以降は本格的に志望校の過去問対策に集中します。
過去問を入手するには志望校を決定しなければ
志望校が決定していなければ、過去問を購入することはできませんが、受験する可能性があれば、なるべく早めに手元に置いておくことがおすすめです。
5年生の3学期や、6年生の春の段階では、まだ新しい過去問は発売されていません。いずれにせよ、その時点では「古本」を入手することになりますので、複数校の過去問を揃えたとしても、それほど大きな出費にはなりませんし、古本なので例え受験しなかったとしてもダメージは少なくて済みます。
ただ、志望校は5年生が終わるころには決めておきたいものです。
そのためには、5年生までに志望校となりそうな学校の見学は終えておきたいところです。
目的は「志望校に合格すること」
子供が通う塾の状況を見ていても、6年生になって以降に、クラス編成やテストの成績・順位などが大きく変動する様子はうかがえません。
もちろん、個別に見れば飛躍的に伸びるケース、またはその逆もあるかもしれませんが、6年生にもなれば全員が同じように頑張るので、総体的にレベルが引き上がるイメージでしょうか。
そうであれば、5年生の終わりの段階で、おおよそのポジション、今後の可能性も見えてきます。少なくとも親としては、子供の可能性の幅を意識しておくべきです。
一方で、子供は子供で、5年生までに興味がある学校をたくさん見てまわり、「自分もここで学びたい」と思える学校、フィーリングの合った学校を絞り込んでおきたいものです。
子供が気に入った学校が、親の想定する「子供の可能性の幅」の中にあれば、まさにそれが「志望校」としてベストな選択になるのではないでしょうか。
過去問の購入
志望校さえ決まれば、あとは過去問(古本)を購入するだけです。
第一志望校の過去問は、「少なくとも5年分、できれば10年分くらい取り組むとよい」と言われていますので、古本と新刊を合わせればそのくらいの問題数は確保できます。
私も気が向けば古本屋を何件もハシゴして、子供の志望校の過去問(古本)を入手していました。
時間があれば、ぜひ書店で過去問にざっと目を通してみてください。記述を多く出題する学校、記号ばかりの学校、出題傾向はいろいろです。普段、子供の勉強の面倒をみている方であれば、それぞれの学校の出題のレベル感も推し量ることができるのではないでしょうか。
塾のテストの結果や偏差値に一喜一憂しているのは、6年生の夏までかと思います。
受験勉強の目的は偏差値を上げることではなく、志望校に合格することです。
「6年生の夏に入るまでに過去問をつまみ食いして、志望校の傾向とレベル感を認識する。そして夏以降、あらかじめ揃えておいた古本と新刊の両方を使って本格的に過去問に取り組む」これが私のおすすめです。